屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
しばらく沈黙が流れたあと、原口部長はふっと笑って窓の外へ視線を向ける。
「社長にも迷惑をかけたな。俺の異動もあって、皆にひどい人と思われていたんだろう。まぁ、あの人は、それくらいでへこたれたりはしないだろうが」
その言葉に、私は自然と清正さんの顔を思い浮かべる。
厳しくて怖くて容赦がなくて、それなのに社員たちから妙に信頼されている理由が、少しだけわかる気がした。
「内示が出た日、『一番大事なものを見失うな』って言葉をかけられた。当時はそう思えなかったが、今ならわかるよ。確かに正しい判断だった」
原口部長はそう言って小さく笑った。
私はそんな横顔を見つめながら、きっと清正さんはいつも社員の人生を考えて決断しているのだろうと思っていた。