屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
そんなふうに考えている私に、会長は続ける。
「でも私はそれだけではいけないのではないかと思っていました。自分の気持ちや誰かのために、血の強さを越えて行動する場面があってもいいんじゃないかと……老婆心ながら思っていたのです」
会長が言いたいことがはっきりとはわからない。でも、清正さんを心配している気持ちは伝わってくる。
「あなたといて、清正はいい方向に変わってきていると感じます。これからも清正をよろしくお願いします」
「そんな……」
私は戸惑いながらも頭を下げた。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
するとその瞬間、私たちの姿に気づいたらしい清正さんが足早に近づいてくる。
その姿を見た会長はどこか愉快そうに目を細め、清正さんが到着したのを確認すると、まるで思い出したように口を開いた。
「余計なお節介かもしれませんが、子どもについては早めに考えておかれるのをお勧めしますよ。時代にそぐわない考えだと思われるかもしれませんが、人の力ではどうにもならないこともありますからね。家の将来という話もありますが、私としては二人の子どもがどんな子に育つのか、ただ純粋に楽しみなんです」