屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「それは……違います」

 二人の視線が一斉にこちらへ向く。
 それでも私は続けた。

「私は朝霧不動産の社員です。朝霧社長は確かに怖いです」

 まずいかと思ったけれど今さら止まれなかった。

「でも、ご自分の利益だけを優先するような人じゃありません。そうだったら、あんなにバカみたいに働かないですし……。それに、本当に人を駒みたいにしか思っていない人なら、こんなに怖いのに社員から尊敬されたりしません。みんな社長を恐れてはいますけど、同時に信頼もしているんです」

 私は真っ直ぐ相手を見た。男性は不快そうに眉をひそめる。

「失礼な女性だな。そもそも一般社員がなぜここにいるんだ」

 その言葉に、先に清正さんが口を開く。

「私のパートナーが不躾に申し訳ありません」
「パートナー?」

 男性が鼻で笑う。

「お付き合いしているか何かですか。それならなおさら、相手は選んだ方がいい」

 私は思わず息を呑んだ。
 確かにそうだと思う。身分もそうだし、こういうときにどう振る舞えばいいかもわからない。

「その言葉、そっくりそのままお返しします」

 だけど、清正さんはきっぱり言った。
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