屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「いいや。ありがとう」
低い声でそう言われ、私は思わず言葉を失った。
「お礼を言われることじゃないです」
「でも、俺のために怒ってくれたんだろう」
その言葉に胸がどくりと鳴る。
そんなつもりじゃなかった。ただ、腹が立っただけだ。
そう言い返したいのに、なぜか声が出てこない。
視線が絡む。逃げるように逸らそうとしても、なぜか動けない。
まるで周囲の音が遠くなったような感覚の中で、清正さんはほんの少しだけ目を細めた。
「やっぱり連れてきて正解だったな。俺は今、かなり機嫌がいい」
そう言って微笑む清正さんに、私はますます顔が熱くなり、慌てて隣にあったグラスを手に取り、中身を飲み込んだ。