屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「私、絶対に諦めないから。結婚した? ただ離婚すればいいだけでしょ。清正さんの血筋に合うのは私なの! あなたみたいな人間じゃない!」

 昔から感情を隠さない人で、私への当たりも強かった。
 けれど今日の玲子さんはそれ以上で、その必死さから、清正さんを本気で想っていたのが痛いほど伝わってきた。だからこそ私の存在が許せないのだろうと思う。

 そんな彼女の鬼気迫る表情に圧倒された私は、何も言えず立ち尽くしていた。清正さんはそれを制する。

「怒りたいなら私に怒り、恨みたいなら私を恨んでください。夏音には関係ない話だ」
「関係ないわけないでしょ! 清正さんは知らないのよ! この子の本性を!」
「知っています」

「じゃあ、この子の両親同様、騙されてるんだわ! 私が目を覚まさせてあげる!」
「そうじゃない」

「今日はもう失礼するわ! 清正さんが少し冷静になった頃にまた話しましょう」

 最後まで聞く気もないと言わんばかりに玲子さんは踵を返し、怒りを隠そうともしない足取りでそのまま会場を後にしていった。
 取り残された私は、唇を強く噛み締めながら、その背中を見送ることしかできなかった。
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