屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「おい、夏音!」
突然目の前で大きな声がして、私はびくりと肩を震わせた。
「何ぼーっとしてるんだよ」
目の前には健太くんがいた。
気付けば昼前になり、健太くんと中学生の美穂ちゃんの二人だけが遊びに来ている。そのせいで、またぼーっとしていた。
私が慌てて立ち上がると、美穂ちゃんがくすりと笑った。
「ほら、やっぱり。今日は好きな人がいないから変なのよ」
「違うからね」
思わず声を上げる。けれど美穂ちゃんは面白そうに笑うだけだった。
「絶対そうだよ」
「違うってば」
「じゃあ何で今日はずっとそんな顔してるの?」
「そんな顔?」
「悲しそうな、不安そうな顔」
図星を突かれたような気がして、私は思わず視線を逸らした。