屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「なんだあいつ。嫌な感じだな」
健太くんが眉を寄せる。
「健太くん」
「だってそうだろ!」
「今、大人同士の大事な話をしているの。なにの血筋も持ってないただの子どもが邪魔しないでくれる?」
玲子さんは気にも留めず、健太くんへ向かって冷たく言う。
健太くんが言い返そうとした、その時。
「申し訳ないが……夏音。健太、美穂ちゃんも、今はそうしてくれないか」
清正さんが言う。その言葉に私の胸が大きく揺れた。
「ほらね」
まるで勝敗が決まったと言わんばかりに玲子さんは笑っていた。隣にいた美穂ちゃんが私の手をぎゅっと握る。
確かに私たちは精神的でなく物理的な契約結婚なのだから、私が口を出す立場ではない。
そう何度も自分に言い聞かせるのに、くらくらして目の前の光景が滲む。
まるで二人の間には誰も入り込めない強い血の絆があって、その場所に自分だけが立ち入れないのだと突き付けられているようだった。