屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
私は今まできちんと恋をしてこなかったのだろうと、今なら分かる。
本当に人を好きになるのはどういうことなのか。こんなに苦しい気持ちも知らなかったから……あんなに簡単に『社長を好きにさせる』なんて言えたんだ。
清正さんが玲子さんとの結婚を選べば、私たちは離婚する。そうなれば、私が元々期待していた通り、契約結婚は終了だ。
そして都市開発が屋敷のある地区に決まらなければ、私はその後も屋敷に住み続けられるかもしれない。
その場合、清正さんといるより前の生活に戻る。ひとりで屋敷を守り、子どもたちと交流して……私の望んでいた、一番大事なものを守りきれる結果だ。
決して遠くない未来を想像して、私は思わず顔を伏せた。
胸がぎゅっと締め付けられ、呼吸を忘れそうになるほど苦しくなる。
私は慌てて胸元を押さえながら何度も深呼吸を繰り返した。