屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
なのに、目の前の男はまるで『明日の会議は十時開始だ』とでも言うみたいな顔で、人生をひっくり返すような提案を平然としてきた。
「なんで妻なんですか?」
「何でもすると言っただろう」
「言いましたけど……でも妻って……。あの妻ですよね? 婚姻関係にある男女の女性の方」
「他にどのような意味がある。何でもすると言ったのは戯言か」
呆れたような言い方に、私は言葉に詰まった。
妻……つまり、社長の奥さん。
私が? なんで!?
「いや、普通、お金の面での話じゃないんですか……」
「金銭面では、九条は十億は払えない。違うか」
「そ、そうですけど」
「金銭面以外での解決となると、あとは法律的にという話になる。それには、俺の妻であることがこの屋敷の権利を得るということと同様の意味だろ」
「でも……」
「君はこの屋敷を守りたい。俺は形式上でも配偶者が必要なんだ。利害が一致している」
「一致してたらいいってもんじゃないでしょう! け、結婚ですよ!」