屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「……いえ。あ、あんなの嘘に決まってます。賭けに勝つための作戦ですよ……。そんなことも分からなかったんですか」
「俺には嘘には思えなかった」
「別にもうどっちでもいいでしょ」
私はぎゅっと唇を噛んだ。
「私がどれだけ頑張っても、全然だめだったのは、そもそも私が賭けには勝てないって分かってたからでしょう。清正さんは人が悪いです」
涙が浮かんで、目の前の清正さんの姿が霞む。
そんな私を見つめながら、清正さんは低い声で問いかけた。
「したくもない結婚までして守りたかった屋敷を、本当に出て行くつもりか?」
「そうです。元々、九条家に血のつながりもない私のものになっていたこともおかしかった話なんです」
震える声で答えながら、私は泣きそうになるのを必死で堪える。
私には屋敷よりも大切なものができてしまった。
それがどれほど親不孝だったとしても。どれほど愚かだったとしても。
それでも――好きになってしまったのだ。