屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「社長も私も、この生活を一生続けるなんて不健全ですよ……」

 そう言った瞬間、ぐっと引き寄せられ、一瞬で距離がなくなる。
 あと少し動けば唇が触れそうなほど近くで、社長は静かに口を開いた。

「この契約結婚を終了させるには、俺が君を好きにならないといけないんだろう? 今のままでどうやって好きにならせる気だ?」

 低い声が耳の奥に響く。
 嫌いな相手のはずなのに、どうしてこんなに近づかれただけで頭が真っ白になって、心臓が落ち着かなくなるのだろう……。

 戸惑う私を見つめ、社長は余裕たっぷりに告げた。

「こういう場面でキスの一つもできないようじゃ、一生かかっても無理だな」

 ――こんな人を、私が好きにさせる?
 そんなこと、本当にできるのだろうか……。
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