屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

 それからの俺は、ただ朝霧家の後継者として求められる事項をこなし続ける日々を送っていた。

 留学先でも、帰国後も、経営の勉強や社内での実務を叩き込まれ、気が付けば毎日を乗り切るだけで精一杯になっている。かつて九条家で過ごした時間や、夏音の笑顔を思い返す時間も次第になくなっていった。

 あの場所は遠い過去になったのだ。

 二度と手に入らない夢みたいな記憶。いや、本当に夢だったのかもしれない。
 そう思うようになっていた。

 だが――俺が社長に就任した年、その過去は突然目の前へ現れた。
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