屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「俺がここの権利を持っている限り、下手な裏切りはしないだろうという意味だ」
「つまり、弱みを握ってるから大丈夫って考えで合ってますか?」

「理解が早くて助かる」

 さらりと肯定され、私は思わず絶句した。

 この人、本当に性格が悪いな!
 顔だけなら雑誌の表紙みたいに整っているのに、その中身がここまで残念だなんて。

 これじゃ、普通の結婚は無理だな、と自分は棚に上げて納得する。

「それに、今まではハウスキーパーを雇っていたが、その人間がここまでは来られないと言う。新しい人間を自宅に入れるのは何かと面倒だ。君ならここの配置はすべて把握しているだろう。家事を一通り任せられる」

 え……契約結婚って、書類上の結婚じゃなくて、同居するつもりってこと!?
 それが分かると余計に混乱した。

「いや、ちょっと待ってください。書類上の夫婦というだけじゃダメなんですか」
「この住楽地区は開発予定の候補地であるものの、まだ本決まりではない。ここに住んでいた方が、開発に関する情報を仕入れるのにも有利だ。住民説明会でもあれば出る理由にもなる」

 仕事の鬼とはまさにこのこと。私生活もすべて仕事に捧げているのは、この人らしいが……。
 この社長と同居するなんて、とまだ悩んでいる私に、社長は呆れたように言い放った。

「君は屋敷に住み続け、ここを守れる。俺は戸籍上の妻を手に入れ、生活環境も整えて、開発地区に関する情報も得られる。合理的だろう」
「本当に合理的ですか?」

 私は思わず頭を抱えた。
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