屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「みんな集まってくれて、本当に嬉しかったなぁ」
私は新しく夫婦の寝室となった部屋の窓から、夜の庭を眺めながらゆっくりと息を吐いた。
日が暮れるまでたくさんの人たちの笑顔と祝福に包まれていた時間を思い返しては、幸福感に自然と頬を緩めていた。
「あぁ。夏音、すごくきれいだった」
隣に座る清正さんが穏やかな声でそう言うものだから、私は照れくささに視線を伏せながらも嬉しくなる。
「ありがとうございます。清正さんもすごく格好よかったですよ」
「そうか」
短く返事をしながらもどこか嬉しそうに目を細める清正さんを見ていると、改めて私はこの人と夫婦になったのだという実感に包まれた。
契約結婚とは違う、心が寄り添った本物の夫婦だ。
「会社は……よかったのか」
「清正さんのことを支えたいし、家のこともしたいし、子どもたちのことも、もっといっぱい見てあげたいんです」
結婚式の前に、私は〝会社を辞める〟という選択をしていた。
不思議と会社を辞めた件に後悔はなかった。前は辞めるのがあれだけ嫌だったのに。
「そうか」
清正さんは私の言葉を静かに受け止めるように頷くと、どこか安心したように微笑む。
「それなら、ふたりの子どものことも考えてくれるか?」
「え……」