屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「掃除だけじゃない。ゴミ出し、郵便物の管理、来客対応、消耗品の補充。生活というのは、細かい雑務の積み重ねだ」

 朝霧社長は淡々とした口調で答えた。

「それはそうですけど……」
「それに、この屋敷は広い。管理する人間がいるだけで全く違うものだ」

 私は思わず口を閉ざした。

 不思議だった。

 この人は、〝家政婦兼妻〟みたいな存在を必要としていると思っていたが、実際に要求してくる項目は驚くほど少ない。
 社長のことだからもっと厳しいルールを押しつけられると思っていたし、完璧な食事管理や細かな世話を求められるのだと覚悟していた。

 なのに、掃除と日曜の夜の食事だけ。
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