屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「こんな高そうなもの……」
思わず声が裏返る。
これ、絶対私の年収を軽く超えてる。指にはめるだけで緊張しそうだ。
しかし、朝霧社長は特に気にした様子もない。
「拒否は許さない。俺の妻が安物をつけていれば不自然だ。疑われないためにも必要だろう」
そうだ。これは恋愛でも新婚生活でもなく、ただの契約結婚。
つまり指輪はユニフォーム。
「はい、承知しました」
高そうな指輪に緊張しながらも、私は静かに左手の薬指へそれを通した。
「社長は……」
「あぁ」
社長も自身の指に指輪をつける。そしてそのまま婚姻届けを出しに行った。
私は二人の指にはまる指輪と、『おめでとうございます!』と微笑む役所の職員を見ながら、本当に契約結婚生活が始まることを実感していた。