屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「あっ――」

 カーペットの端に足が引っかかり、身体がぐらりと傾く。
 あぶない、と思った次の瞬間には、反射的に何かへ掴まっていた。

 朝霧社長の腕に、だ。

「……ひっ」

 一瞬、空気が止まる。
 スーツ越しに触れた腕は思ったよりずっと熱を持っていて、硬くて、男の人なんだと妙に実感する。

 しかも朝霧社長の整った顔がすぐ目の前にあって、なんだかいい匂いがふわりと鼻先を掠めた瞬間、心臓がありえない勢いで跳ね上がる。
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