屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

 どうしよう。ものすごく嬉しい。ただ一言褒められただけなのに、頑張って作ってよかったと思えるくらい嬉しい。
 その上、ほんの少しだけ笑った……ような顔まで見せられたせいで、顔が熱くなるのを止められなかった。

 ――って、違う。

 そこで私ははっと我に返る。
 今日は社長をキュンとさせる日だったはずだ。

 とにかくおいしいと言っているのだから、社長にだって少しくらいは効いているはず。
 そう思って期待を込めて向かいを見る。

 しかし社長はすでに真顔へ戻り、何事もなかったかのように黙々とビーフシチューを食べ続けていた。

 ……うん。感情が全く読めない。

 やっぱりこの人、キュンとする機能自体が備わってないのでは?
< 58 / 228 >

この作品をシェア

pagetop