屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「なんだか、すみません……」

 私が屋敷を手放したくないなんて言い出さなければ、社長だってあんな提案はしなかっただろう。
 申し訳なくなって俯くと、綿貫さんは静かに首を横へ振った。

「そういった意味ではありません。むしろ私は安心しました」

 予想外の言葉だった。

「安心?」
「社長が人間らしい感情の中で、人間らしい生活を送るきっかけになるかもしれないと思いましたので」

 確かに人間らしい感情は少なそうだもんね。特に恋愛感情。
 結構辛らつだな、と思いながら苦笑する。
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