屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

 私は社長を椅子へ座らせた。

「はい。今日はここです」
「ここ?」
「お庭デートです」

 そう言いながら私は後ろへ回り込んだ。そして軽く肩を叩く。
 ついそうしていたけど、気づけば社長に触れていると気づき、少しだけ緊張する。

 そんな気持ちを隠すように肩を叩き続けた。

「疲れてますよね」
「そんなことはない」
「ありますよー。肩ががちがちです」

 即答すると、社長が少し眉を上げる。私は構わず続けた。

「今からご飯の準備をしますから、その間は何もしないでください」
「命令か」
「お願いです」

 そう言うと、社長は小さく息を吐いた。

「分かった」
「よし」

 私はそれから、冷蔵庫からビールとお茶を持ってきた。

「どっちでもどうぞ。ビールでもお茶でも。それと寝ちゃっても起こしますから安心してください」

 その瞬間、社長がまた少しだけ笑った。本当に少しだけ。
 けれど私はその笑顔を見て、今日までの準備の苦労が全て報われた気がしていた。
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