屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
やがて料理が完成し、最後の盛り付けまで終えた私はエプロンを外して軽く息を吐く。テーブルに料理を並べる前に社長を起こそうと思い、庭へ向かってゆっくり歩いていった。
「社長、ご飯できましたよ。そろそろ起きてください」
しかし返事はなく、近付いてみても規則正しい寝息が聞こえるだけだった。よほど深く眠っているらしい。
私は少しだけ可笑しくなりながら肩へ手を伸ばし、そっと触れたまま微笑んだ。
「起きてくださいよ~。もう少し寝ててもいいですけど、ご飯冷めちゃいますよ」
その瞬間だった。
「きゃっ――!」
不意に手首をぐいっと引かれたせいで身体のバランスを崩した私は、そのまま社長の方へ倒れ込むように引き寄せられ、気付けば彼の顔がすぐ目の前にあって思わず息を呑んだ。