屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
呼吸が触れ合いそうなほど近くて、長い睫毛も、少しだけ緩んだ口元も、普段なら絶対に見られない距離で視界いっぱいに映り込む。
心臓が激しく跳ね上がった私が固まっていると、閉じられていた瞳がゆっくりと開き、私を見つめたまま社長は低く掠れた声を漏らした。
「……夏音」
「え……?」
あまりにも自然に呼ばれた名前に私は完全に動きを止めた。