屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

『眠いなら眠るか?』
『やだー。まだ起きてます……。起きてたいの。ここで誰かとお酒を飲むなんて、初めてなんだから……』
『そうか……』

 それは知っていた。
 彼女の育ての親が事故で亡くなったのは高校生の頃で、それからは自分や屋敷のことで精一杯だったはずだ。

 誰かとこうして、ここで酒を飲む機会などなかったのだろう。
 だから少しでも楽しかったならいい。

 そう思った。思ったのだが――。

 次の瞬間、突然夏音がこちらへ身体を寄せ、そのまま俺へ抱きついてきた。
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