屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
 その言葉に込められた寂しさが、全部伝わってきた。
 だから俺は静かに息を吐き、彼女から少しだけ距離を取った。

『あぁ、ごめん』

 誰に聞かせるでもなくそう答え、俺はそっと夏音を抱き上げた。

 彼女は驚くほど軽かった。
 こんな細い身体で今までどれだけのものを背負ってきたのだろうと思うと胸が締めつけられた。

 悩んだが許可なく彼女の部屋に入るわけにもいかず、そのまま自室へ運び、起こさないよう慎重にベッドへ寝かせる。
 柔らかな髪が枕の上へ広がるのを見つめながら、俺はベッドサイドへ腰を下ろした。
 そしてそっと髪を撫でる。

 夏音は気持ち良さそうに少しだけ眉を緩めた。
 その姿を見ていると、どうしようもなく愛しくなる。
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