屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

六章 変化

 あのデートから、ほんの少しだけ空気が変わった気がしていた。

 いや、違う。変わったのはきっと空気ではなく、私自身のほうだ。
 以前なら、社長の姿を見かけても『苦手な人だな』としか思わなかったのに、最近は気づけば視線で追ってしまう。特に手首を掴まれ、名前で呼ばれたのを思い出せば、何だか落ち着かず、ダメだった。

 もちろん厳しいし、容赦もない。けれど、これまで一緒に過ごして気づいた。

 社長だって無理をすれば疲れるし、よく見ればちゃんと表情だってある。
 それを知ってしまったら、以前のように嫌いで恐ろしいだけの存在には見えなくなっていた。
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