屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

 そんなある日。

 朝霧グループ役員が集まる会議の手伝いに駆り出されることになった。
 本来であれば総務部長が担当する業務なのだが、運悪く部長がインフルエンザで休みになり、その代役として課長が任される事態になったらしい。

 そして、一人では不安だったのか、なぜか私にまで声がかかったのである。

「ほ、ほら、社長も出席なさるしな。顔を知っている人間がいたほうがいいだろ?」

 課長はそう言いながら笑うが、その笑顔は引きつっていた。課長はわかりやすい。

「それで私、ですか」
「……失敗できないからお願いだ!」

 どうやら課長は、何か失敗して社長の機嫌を損ねる結果を本気で恐れているらしい。
 そして、課長は『一緒にいれば怒られる可能性が低そうな人員』として私を選んだのだろう。とても微妙な気持ちである。

 とはいえ、断れるわけがない。私はただの一社員だ。
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