こんな私を好きになって、くれますか?
第2章:170センチの見上げ方
放課後の部活帰り、私——白石葵は、げた箱の前で大きなため息をついた。
身長170cm。女子の中では圧倒的に高くて、男子と並んでも私の方が少し目線が高い。
可愛いお洒落なヒールなんて履けやしないし、縮こまって歩くのがいつの間にか癖になっていた。
「また、背中丸めてる」
声がして振り返ると、そこにはクラスメイトの陸が立っていた。
陸は私より少し背が低くて、いつも真っ直ぐ私を見てくる男の子。
「……大きくてごめんね、威圧感あって怖いでしょ」
自虐的に笑う私に、陸はまっすぐ近づいてきて、私を見上げた。
「何言ってんだよ。俺、葵のその背が高いところ、すごく好きだけどな」
「……え?」
「遠くからでもお前がどこにいるかすぐ分かるし、何より堂々としていてカッコいい。……まあ、たまにはこうやって、俺を見下ろすんじゃなくて、上を向かせてほしいけどさ」
陸が照れくさそうに笑う。
その言葉に、胸の奥がキュッと締め付けられた。
ずっと「大きすぎる」と嫌っていた自分の身長が、初めて誇らしく思えた瞬間だった。
「……もう、ずるいこと言わないでよ」
私は少し背筋をピンと伸ばして、陸よりも少しだけ高い目線から、思いきり微笑み返した。