こんな私を好きになって、くれますか?

第2章:170センチの見上げ方


放課後の部活帰り、私——白石葵は、げた箱の前で大きなため息をついた。

身長170cm。女子の中では圧倒的に高くて、男子と並んでも私の方が少し目線が高い。

可愛いお洒落なヒールなんて履けやしないし、縮こまって歩くのがいつの間にか癖になっていた。

「また、背中丸めてる」

声がして振り返ると、そこにはクラスメイトの陸が立っていた。

陸は私より少し背が低くて、いつも真っ直ぐ私を見てくる男の子。

「……大きくてごめんね、威圧感あって怖いでしょ」


自虐的に笑う私に、陸はまっすぐ近づいてきて、私を見上げた。

「何言ってんだよ。俺、葵のその背が高いところ、すごく好きだけどな」


「……え?」

「遠くからでもお前がどこにいるかすぐ分かるし、何より堂々としていてカッコいい。……まあ、たまにはこうやって、俺を見下ろすんじゃなくて、上を向かせてほしいけどさ」

陸が照れくさそうに笑う。


その言葉に、胸の奥がキュッと締め付けられた。




ずっと「大きすぎる」と嫌っていた自分の身長が、初めて誇らしく思えた瞬間だった。

「……もう、ずるいこと言わないでよ」



私は少し背筋をピンと伸ばして、陸よりも少しだけ高い目線から、思いきり微笑み返した。
< 3 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop