雪恋
「大丈夫?」
と、柔らかな声が聞こえた。
顔を上げると、優しいおでんの匂いが鼻を突いて。
「卵入り?」
と不意に答えた。
不意に顔を上げる。
目の前に現れたのは古臭いコンビニと見たことのない男だった。
見た感じ、グレー色の短髪頭をした端正な顔立ち。
二重でホストみたいな人だ。
グレーのパーカーに、麻布の短パン。
「寒くないの?」と言ったような感じで。
ーー変な人だ……。
そう思った矢先。
「君、足くじいてるね。
ちょっとおいで」
と手を握られて。
「辞めて!!」
と、私は振り払った。
男はキョトンとして「え……」と答えた。
数秒気まずい時間が流れた。
なにこれ……私が悪いの!?
「か…、勝手に知らない人の手を握らないでください!!」
すっと手を引っ込めたのには理由がある。
痣があるからだ。
祖父に剣道で叩き込まれたーー。
「剣道の、痣のこと言ってる?
四宮雪ーーーちゃん?」