雪恋
結局この人のご厚意に負けた。
コンビニによって、シップを買ってくれたのはいいけれど……。
それを、瓦礫の下に座ってシップを足首のところに貼るは余計では?
「はい、オレンジジュース。
走って、疲れた体にはもってこいだよ。」
憎めない笑顔で接されたので、怒るにも怒れなくて。
「……どうして、そこまで他人なのに優しく出来るんですか?」
「え?
逆に、何で優しくしちゃいけないの?」
「子ども扱いされて、ムカつくってことです」
と、しかたなくちびちびとオレンジジュースを飲む。
美味しいけど、素直にはなれない。
それは、祖父からの呪い。
「自分の弱点を話す事は、相手から殺される時」と教わったからだ。
「雪ちゃん……だっけ?」
私は答えない。
「剣道は楽しい?」
「……敵役のくせに、何を言ってるんですか?」
「楽しいかって、聞いてるの」
まっすぐ、目を見つめられ。
街頭の明かりが、さらさらの男の銀髪が揺れる。
「楽しい……といえば、嘘になります」