君のとなり 〜約束の168〜
第18章 偶然の再会
冬休みのある日。
私は街へ買い物に出ていた。
クリスマスが終わったばかりの街には、まだイルミネーションが残っている。
拓実と過ごしたクリスマスを思い出すと、自然と頬が緩んだ。
手を握ってくれたこと。
冷たい手を温めてくれたこと。
そして――。
名前を呼んだとき、嬉しそうに抱きしめてくれたこと。
「……拓実」
小さく呟いて、私は自分で恥ずかしくなった。
付き合い始めてから、拓実と過ごす時間が本当に楽しい。
そんなことを考えながら歩いていたときだった。
「……瑠夏?」
聞き覚えのある声がして、私は足を止めた。
振り返る。
「……彩花?」
そこにいたのは、久しぶりに会う彩花だった。
「やっぱり瑠夏だ!」
「久しぶり」
「久しぶり! 元気だった?」
「うん」
懐かしくて、自然と笑顔になる。
彩花と話しながら歩いていると、ふと気づいた。
彩花の隣に、男の子がいる。
私たちと同じくらいの年齢に見える。
さっきから、彩花の隣を当たり前のように歩いている。
誰だろう。
気になって、その男の子をちらっと見る。
すると彩花が私の視線に気づいた。
「ああ、彼?」
「……うん」
彩花は、少し照れたように笑った。
「私の彼氏」
「……彼氏?」
思わず聞き返してしまった。
彩花が頷く。
「そう」
その言葉に、私は少し驚いた。
彩花に彼氏がいることが意外だったわけじゃない。
ただ――。
頭の中に、ひとつの名前が浮かんだ。
翔。
「じゃあ……」
私は彩花を見る。
「じゃあ翔くんじゃないの?」
彩花が、きょとんとした顔をした。
「え?」
「翔くん……」
「ああ……」
彩花が少し考えるように瞬きをする。
「翔とは付き合ってないよ?」
「……え?」
今度は私が言葉を失った。
付き合って……ない?
「うん。翔とは昔から仲いいけど、付き合ったことはないよ」
彩花は、何でもないことのように言った。
「そう……なんだ」
私は、うまく返事ができなかった。
ずっと、そうだと思っていた。
中学生の頃から。
翔と彩花は仲が良くて。
一緒にいることも多くて。
だから私は、二人は付き合っているんだと思っていた。
それが当たり前だと思っていた。
だから――。
翔には彩花がいる。
そう思っていた。
でも。
違った。
「……私、勘違いしてた」
思わず口からこぼれる。
「何を?」
「ううん……なんでもない」
彩花は不思議そうに私を見る。
でも、それ以上は聞かなかった。
私はもう一度、彩花の隣にいる男の子を見る。
そして、もう一度考える。
じゃあ。
翔と彩花は――。
付き合っていなかった。
その事実だけが、頭の中に残った。
どうして今まで、気づかなかったんだろう。
そんな疑問が、胸の片隅に小さく残る。
けれど。
それが何を意味するのか。
翔がどういう気持ちだったのか。
そのときの私は、まだ何も知らなかった。
ただ一つ。
ずっと自分の中にあった「翔には彩花がいる」という思い込みが、初めて崩れた。
それだけだった。
私は街へ買い物に出ていた。
クリスマスが終わったばかりの街には、まだイルミネーションが残っている。
拓実と過ごしたクリスマスを思い出すと、自然と頬が緩んだ。
手を握ってくれたこと。
冷たい手を温めてくれたこと。
そして――。
名前を呼んだとき、嬉しそうに抱きしめてくれたこと。
「……拓実」
小さく呟いて、私は自分で恥ずかしくなった。
付き合い始めてから、拓実と過ごす時間が本当に楽しい。
そんなことを考えながら歩いていたときだった。
「……瑠夏?」
聞き覚えのある声がして、私は足を止めた。
振り返る。
「……彩花?」
そこにいたのは、久しぶりに会う彩花だった。
「やっぱり瑠夏だ!」
「久しぶり」
「久しぶり! 元気だった?」
「うん」
懐かしくて、自然と笑顔になる。
彩花と話しながら歩いていると、ふと気づいた。
彩花の隣に、男の子がいる。
私たちと同じくらいの年齢に見える。
さっきから、彩花の隣を当たり前のように歩いている。
誰だろう。
気になって、その男の子をちらっと見る。
すると彩花が私の視線に気づいた。
「ああ、彼?」
「……うん」
彩花は、少し照れたように笑った。
「私の彼氏」
「……彼氏?」
思わず聞き返してしまった。
彩花が頷く。
「そう」
その言葉に、私は少し驚いた。
彩花に彼氏がいることが意外だったわけじゃない。
ただ――。
頭の中に、ひとつの名前が浮かんだ。
翔。
「じゃあ……」
私は彩花を見る。
「じゃあ翔くんじゃないの?」
彩花が、きょとんとした顔をした。
「え?」
「翔くん……」
「ああ……」
彩花が少し考えるように瞬きをする。
「翔とは付き合ってないよ?」
「……え?」
今度は私が言葉を失った。
付き合って……ない?
「うん。翔とは昔から仲いいけど、付き合ったことはないよ」
彩花は、何でもないことのように言った。
「そう……なんだ」
私は、うまく返事ができなかった。
ずっと、そうだと思っていた。
中学生の頃から。
翔と彩花は仲が良くて。
一緒にいることも多くて。
だから私は、二人は付き合っているんだと思っていた。
それが当たり前だと思っていた。
だから――。
翔には彩花がいる。
そう思っていた。
でも。
違った。
「……私、勘違いしてた」
思わず口からこぼれる。
「何を?」
「ううん……なんでもない」
彩花は不思議そうに私を見る。
でも、それ以上は聞かなかった。
私はもう一度、彩花の隣にいる男の子を見る。
そして、もう一度考える。
じゃあ。
翔と彩花は――。
付き合っていなかった。
その事実だけが、頭の中に残った。
どうして今まで、気づかなかったんだろう。
そんな疑問が、胸の片隅に小さく残る。
けれど。
それが何を意味するのか。
翔がどういう気持ちだったのか。
そのときの私は、まだ何も知らなかった。
ただ一つ。
ずっと自分の中にあった「翔には彩花がいる」という思い込みが、初めて崩れた。
それだけだった。