一緒にいたくて男装執事になったのに~嫉妬と溺愛とまりません~【隣国編】
こんな知らない土地の知らないところで、置いてきぼりなんてくらったら私どうなるの?!
そこで、重大なことを思い出す。
……ギル様が待ってろって言ってたのに……ど、どどど、どーしよう!!!
私が誘惑に負けたのがいけないけど……!!
で、でも初めて目にした魔法と魔法使いさんだよ?!
こんな誘惑……勝てるわけないじゃんっ!!
「や、やばいよ!助けて!魔法使いさん!!」
「……ちっ……離せよ」
「……噴水広場で待ってるように主人に言われたのに……どうしようっ!?!?!」
「しらねぇ」
とてもやばい状況だと言うのに、思いっきり腕を振りほどかれ完全に拒絶される。
そして、魔法使いさんは私に背を向けて扉に向かって歩き出してしまった。
その瞬間……このままギル様に会えなかったら……と思うと、急に不安が襲ってきてなんだか目頭が熱くなっていく。
周りを見渡しても窓から見える景色は、やっぱりまったく知らない場所で不安が膨らみ、だんだんと元気が消えていき、目からポツリと涙がこぼれ落ちる。
「……ぐすっ……」
そんな私の声に魔法使いさんは、ピタッと足を止めると振り返った。
そして、さっきまで最強に嫌そうな顔をしていた魔法使いさんが、急にうろたえる。