一緒にいたくて男装執事になったのに~嫉妬と溺愛とまりません~【隣国編】
「くそっ……女みたいな顔して泣いてんじゃねぇよ!」
「だってぇ……」
「だってじゃねぇよ!ちっ……くそっ」
めちゃくちゃ嫌そうな顔をすると、ポケットに手を突っ込みながら、ものすごく態度悪くこちらにズカズカと戻ってくる魔法使いさん。
そして、私の目の前まで来ると魔法使いさんの綺麗なレッドアイが私をギロリと見下ろし、ぶっきらぼうに口を開く。
「送ってやるから泣くんじゃねぇよ」
その一言に驚いて、魔法使いさんを見上げると同時に、目に溜まっていた涙が一粒ポツリとほっぺたに落ちてしまった。
すると「まぢでなんなんだよ……こいつ」なんてブツブツと文句を言うと
ポケットに突っ込んでいた手を取り出し、洋服の袖でゴシゴシと私の目元を強く擦った。
いたっ……。
予想外の行動に、案外優しくて驚いたけれど、強さの加減を知らないのか目元が擦れて痛い……。
だけれど、送ってくれると言っているのだから、そんな事は口に出してはいけない!!
痛みと言葉をグッとこらえて、彼を見つめる。
「本当に送ってくれるの……?」
「はぁ……まぢでめんどくせーけど仕方ねぇーだろ……だる……」
魔法使いさんはだるそうにしているけれど、私はこの人が優しいことを知ってしまった!
そして、ギル様の元へなんとか帰れる安心感と、また魔法体験が出来るワクワクで、だんだんと元気が戻ってきて顔が緩む。