一緒にいたくて男装執事になったのに~嫉妬と溺愛とまりません~【隣国編】☆編集中です
「ギル様しか可愛いだなんて言ってくれる人はいないので大丈夫ですっ!なんたって私はどこからどう見ても完璧な男の子ですからっ!」
私は茶髪のショートカットを揺らして、「ね?」と自信満々に笑った。
そんな私を見てギル様は、ため息をつき額に手を当てると、小さく呟く。
「はぁ……俺の婚約者は無自覚すぎだろう……あんなにも屋敷の者たちをたらしこんだというのに……連れてきたのは、やはり間違いだったか……?」
波の音にかき消されるほど小さな声。
何を言っているのか聞き取れなかった私は不思議に見つめるけれど、ギル様は「なんでもない」と諦めるように笑った。
二人でこの海の先にある、まだ見えない隣国メルティアーナの方角を眺める。
私は気持ちのいい潮風を全身に浴びて、ギル様に弾けた笑顔を向けた。
「ギル様っ!隣国とっても楽しみですねっ!」
「……あぁ、そうだな」
今日も楽しげに笑う私に、ギル様は困ったような顔をしつつも、最後にはいつも通りの優しい笑顔を返してくれた。