むすび洋菓子店 ―人との縁と縁をつなぐ―
新しい日常
数日後。
結月は、いのりを連れて退院した。
「ただいま、いのりちゃん」
むすび洋菓子店に戻ってきた結月は、店の中を見渡した。
いつもの甘い香り。
ショーケースに並ぶケーキ。
るいの雑貨が並ぶコーナー。
そして、二人が大切にしてきた場所。
「またここで、三人の生活が始まるね」
るいが笑った。
「うん」
いのりは小さな声を出して、結月の腕の中で眠っている。
結月は赤ちゃんのお世話をしながら、少しずつ仕事も再開した。
無理をしないように、できることから。
るいも結月といのりを気にかけながら、雑貨の仕事と店の手伝いをしていた。
「結月、いのりちゃん泣いてるよ」
「ありがとう。私が抱っこするね」
「じゃあ、こっちは私がやるよ」
二人で協力しながら、家族としての新しい日々を過ごしていた。
そんなある日の午後。
カラン――。
店の扉が開いた。
「いらっしゃいませ」
結月が顔を上げる。
「……秀」
秀だった。
そして、その隣には由美がいた。
「こんにちは」
由美が笑顔で挨拶する。
「いらっしゃいませ」
結月もいつもの店員の笑顔を見せた。
二人はショーケースを眺める。
「どれにする?」
由美が秀に尋ねる。
「そうだな……」
秀はケーキを一つずつ見ていく。
そして、あるケーキの前で目を止めた。
「これにしよう」
「レアチーズケーキ?」
「うん。限定なんだって」
秀は限定のレアチーズケーキを選んだ。
そのとき、秀が結月を見る。
「結月」
「うん?」
「出産、おめでとう」
「……ありがとう」
秀はポケットから封筒を取り出した。
「これ、出産祝い」
「えっ……いいよ、そんな」
「受け取って」
秀は結月に封筒を差し出した。
「みんなで使って」
結月は少し迷ったあと、両手で受け取った。
「……ありがとう、秀」
「いのりちゃん、元気?」
「うん。今、寝てるよ」
結月がそっと赤ちゃんを見る。
秀も、少しだけその姿を見つめた。
「そっか」
由美も優しく笑った。
「可愛いね」
「ありがとう」
結月は笑顔で答えた。
秀はレアチーズケーキの箱を受け取る。
「じゃあ、また来るよ」
「うん。ありがとうございました」
秀と由美は店を出ていった。
カラン――。
扉が閉じる。
結月は、手の中の出産祝いの封筒を見つめた。
昔、愛した人からもらったもの。
けれど今の結月には、るいといのりがいる。
るいが、そっと結月の隣に立った。
「大切に使わせてもらおう」
「うん」
結月は笑った。
そして、眠っているいのりを見つめる。
過去からもらった贈り物を胸にしまいながら――
結月は、今の家族との未来を見つめていた。
結月は、いのりを連れて退院した。
「ただいま、いのりちゃん」
むすび洋菓子店に戻ってきた結月は、店の中を見渡した。
いつもの甘い香り。
ショーケースに並ぶケーキ。
るいの雑貨が並ぶコーナー。
そして、二人が大切にしてきた場所。
「またここで、三人の生活が始まるね」
るいが笑った。
「うん」
いのりは小さな声を出して、結月の腕の中で眠っている。
結月は赤ちゃんのお世話をしながら、少しずつ仕事も再開した。
無理をしないように、できることから。
るいも結月といのりを気にかけながら、雑貨の仕事と店の手伝いをしていた。
「結月、いのりちゃん泣いてるよ」
「ありがとう。私が抱っこするね」
「じゃあ、こっちは私がやるよ」
二人で協力しながら、家族としての新しい日々を過ごしていた。
そんなある日の午後。
カラン――。
店の扉が開いた。
「いらっしゃいませ」
結月が顔を上げる。
「……秀」
秀だった。
そして、その隣には由美がいた。
「こんにちは」
由美が笑顔で挨拶する。
「いらっしゃいませ」
結月もいつもの店員の笑顔を見せた。
二人はショーケースを眺める。
「どれにする?」
由美が秀に尋ねる。
「そうだな……」
秀はケーキを一つずつ見ていく。
そして、あるケーキの前で目を止めた。
「これにしよう」
「レアチーズケーキ?」
「うん。限定なんだって」
秀は限定のレアチーズケーキを選んだ。
そのとき、秀が結月を見る。
「結月」
「うん?」
「出産、おめでとう」
「……ありがとう」
秀はポケットから封筒を取り出した。
「これ、出産祝い」
「えっ……いいよ、そんな」
「受け取って」
秀は結月に封筒を差し出した。
「みんなで使って」
結月は少し迷ったあと、両手で受け取った。
「……ありがとう、秀」
「いのりちゃん、元気?」
「うん。今、寝てるよ」
結月がそっと赤ちゃんを見る。
秀も、少しだけその姿を見つめた。
「そっか」
由美も優しく笑った。
「可愛いね」
「ありがとう」
結月は笑顔で答えた。
秀はレアチーズケーキの箱を受け取る。
「じゃあ、また来るよ」
「うん。ありがとうございました」
秀と由美は店を出ていった。
カラン――。
扉が閉じる。
結月は、手の中の出産祝いの封筒を見つめた。
昔、愛した人からもらったもの。
けれど今の結月には、るいといのりがいる。
るいが、そっと結月の隣に立った。
「大切に使わせてもらおう」
「うん」
結月は笑った。
そして、眠っているいのりを見つめる。
過去からもらった贈り物を胸にしまいながら――
結月は、今の家族との未来を見つめていた。