むすび洋菓子店 ―人との縁と縁をつなぐ―
幸せなら、それでいい
ケーキを食べ終えると、瑠璃が持ってきた袋を結月に差し出した。
「そうそう、結月。これ、出産祝い!」
「えっ、ありがとう」
袋を開けると、中にはいのりの可愛らしい洋服と、おむつが入っていた。
「わあ……可愛い」
「いのりちゃんに似合うと思って」
「ありがとう、瑠璃ちゃん。おむつも助かるよ」
結月は嬉しそうに笑った。
「いっぱい使うもんね」
「そうなの。ほんと助かる」
続いて、佐藤も袋を差し出した。
「俺からも」
「佐藤くんも?」
「これ、お尻拭き。いくらあっても困らないだろ」
「ありがとう!」
結月は思わず笑った。
「本当に助かる。みんな優しいね」
「同級生だろ」
佐藤は照れくさそうに笑った。
その様子を、秀は少し離れたところから見ていた。
結月の腕の中には、小さないのり。
その隣には、愛する夫のるい。
結月は幸せそうに笑っている。
秀の胸の奥が、きゅっと痛んだ。
――最愛の人だった。
高校時代、自分が心から愛した人。
忘れていたはずなのに、再会してから少しずつ思い出してしまった。
そして今。
結月は結婚している。
子どももいる。
自分の知らない時間の中で、結月は新しい人生を歩んでいた。
「……」
嫌な気持ちが、少しだけ込み上げる。
もし、あの頃ずっと結月と一緒にいたら。
もし、別の道を選んでいたら。
そんな「もしも」が、頭をよぎる。
けれど、秀はその考えを静かに飲み込んだ。
結月は笑っている。
いのりを抱いて、幸せそうに笑っている。
それなら――
それでいい。
自分が隣にいなくても。
自分ではない誰かと家族になっていても。
結月が幸せなら、それでいい。
秀は小さく息を吐いた。
「結月」
「ん?」
「いのりちゃん、大切にしてやれよ」
結月は優しく笑った。
「もちろん」
「……そっか」
秀も笑った。
その笑顔の奥に、少しだけ寂しさを隠して。
そして心の中で、そっと願った。
――幸せにな。
俺が愛した人。
今も、これからも。
結月が笑っていられますように。
「そうそう、結月。これ、出産祝い!」
「えっ、ありがとう」
袋を開けると、中にはいのりの可愛らしい洋服と、おむつが入っていた。
「わあ……可愛い」
「いのりちゃんに似合うと思って」
「ありがとう、瑠璃ちゃん。おむつも助かるよ」
結月は嬉しそうに笑った。
「いっぱい使うもんね」
「そうなの。ほんと助かる」
続いて、佐藤も袋を差し出した。
「俺からも」
「佐藤くんも?」
「これ、お尻拭き。いくらあっても困らないだろ」
「ありがとう!」
結月は思わず笑った。
「本当に助かる。みんな優しいね」
「同級生だろ」
佐藤は照れくさそうに笑った。
その様子を、秀は少し離れたところから見ていた。
結月の腕の中には、小さないのり。
その隣には、愛する夫のるい。
結月は幸せそうに笑っている。
秀の胸の奥が、きゅっと痛んだ。
――最愛の人だった。
高校時代、自分が心から愛した人。
忘れていたはずなのに、再会してから少しずつ思い出してしまった。
そして今。
結月は結婚している。
子どももいる。
自分の知らない時間の中で、結月は新しい人生を歩んでいた。
「……」
嫌な気持ちが、少しだけ込み上げる。
もし、あの頃ずっと結月と一緒にいたら。
もし、別の道を選んでいたら。
そんな「もしも」が、頭をよぎる。
けれど、秀はその考えを静かに飲み込んだ。
結月は笑っている。
いのりを抱いて、幸せそうに笑っている。
それなら――
それでいい。
自分が隣にいなくても。
自分ではない誰かと家族になっていても。
結月が幸せなら、それでいい。
秀は小さく息を吐いた。
「結月」
「ん?」
「いのりちゃん、大切にしてやれよ」
結月は優しく笑った。
「もちろん」
「……そっか」
秀も笑った。
その笑顔の奥に、少しだけ寂しさを隠して。
そして心の中で、そっと願った。
――幸せにな。
俺が愛した人。
今も、これからも。
結月が笑っていられますように。