別府の湯けむり、君と50年の未来
おかえりなさい
青い屋根の家の前で、雪が立ち止まった。
「ただいまー」
玄関の扉を開ける。
「おかえり、雪」
奥から聞こえてきたのは、優しい女性の声だった。
そして、雪の後ろにいる遥斗を見つけると、お母さんは目を丸くした。
「……あら?」
雪が振り返る。
「お母さん」
「遥くん?」
「お久しぶりです」
遥斗が緊張しながら頭を下げる。
お母さんは嬉しそうに笑った。
「遥くん、来たんだね」
「はい。雪に会いに来ました」
「よかった……無事で」
お母さんは遥斗の顔を見つめる。
「ずっと心配しちょったんよ。飛行機に乗って、電車にも乗って……遠かったやろ?」
「はい。でも、大丈夫です」
「そう。よかった」
お母さんはほっとしたように笑った。
「さあ、上がりなさい」
「お邪魔します」
遥斗が靴を脱ぐ。
家の中に入ると、どこか懐かしい匂いがした。
そして――。
「遥くん、お腹空いたでしょ?」
「え?」
「唐揚げと鶏めしと、だんご汁作ったから!」
遥斗は思わず目を見開いた。
「そんな……ありがとうございます」
「遠くから来たんやけん、いっぱい食べなね!」
雪が笑う。
「お母さん、張り切りすぎ」
「だって、遥くんが来るんやもん」
食卓には、出来たての唐揚げ。
湯気の立つ鶏めし。
そして、大分の家庭の味、だんご汁。
「懐かしい……」
遥斗が呟く。
「別府におるとき、よく食べたな」
雪も嬉しそうに笑った。
「いっぱい食べてね」
「はい。いただきます」
一口、唐揚げを食べる。
「……美味しい」
「よかった」
お母さんが嬉しそうに笑う。
「遥くん、雪のこと大事にしてくれたんやね」
その言葉に、遥斗は箸を置いた。
「はい」
そして、雪を見る。
「五年前の約束を、ずっと覚えていました」
雪の目が少し潤む。
「私も……覚えてたよ」
食卓に、温かな空気が広がった。
五年という時間を越えて、ようやく三人で囲む食卓。
遥斗は思った。
――約束を果たしに来て、本当によかった。
大分の家庭料理の湯気の向こうで、雪が笑っている。
その笑顔を、今度こそ近くで守りたい。
そんな気持ちが、遥斗の胸に静かに芽生えていた。
「ただいまー」
玄関の扉を開ける。
「おかえり、雪」
奥から聞こえてきたのは、優しい女性の声だった。
そして、雪の後ろにいる遥斗を見つけると、お母さんは目を丸くした。
「……あら?」
雪が振り返る。
「お母さん」
「遥くん?」
「お久しぶりです」
遥斗が緊張しながら頭を下げる。
お母さんは嬉しそうに笑った。
「遥くん、来たんだね」
「はい。雪に会いに来ました」
「よかった……無事で」
お母さんは遥斗の顔を見つめる。
「ずっと心配しちょったんよ。飛行機に乗って、電車にも乗って……遠かったやろ?」
「はい。でも、大丈夫です」
「そう。よかった」
お母さんはほっとしたように笑った。
「さあ、上がりなさい」
「お邪魔します」
遥斗が靴を脱ぐ。
家の中に入ると、どこか懐かしい匂いがした。
そして――。
「遥くん、お腹空いたでしょ?」
「え?」
「唐揚げと鶏めしと、だんご汁作ったから!」
遥斗は思わず目を見開いた。
「そんな……ありがとうございます」
「遠くから来たんやけん、いっぱい食べなね!」
雪が笑う。
「お母さん、張り切りすぎ」
「だって、遥くんが来るんやもん」
食卓には、出来たての唐揚げ。
湯気の立つ鶏めし。
そして、大分の家庭の味、だんご汁。
「懐かしい……」
遥斗が呟く。
「別府におるとき、よく食べたな」
雪も嬉しそうに笑った。
「いっぱい食べてね」
「はい。いただきます」
一口、唐揚げを食べる。
「……美味しい」
「よかった」
お母さんが嬉しそうに笑う。
「遥くん、雪のこと大事にしてくれたんやね」
その言葉に、遥斗は箸を置いた。
「はい」
そして、雪を見る。
「五年前の約束を、ずっと覚えていました」
雪の目が少し潤む。
「私も……覚えてたよ」
食卓に、温かな空気が広がった。
五年という時間を越えて、ようやく三人で囲む食卓。
遥斗は思った。
――約束を果たしに来て、本当によかった。
大分の家庭料理の湯気の向こうで、雪が笑っている。
その笑顔を、今度こそ近くで守りたい。
そんな気持ちが、遥斗の胸に静かに芽生えていた。