別府の湯けむり、君と50年の未来
鎌倉の八幡さま
夕方。
少しずつ空が茜色に染まり始めた頃、雪は遥斗を連れて家を出た。
「遥斗、行きたいところがあるんよ」
「どこ?」
「鶴岡八幡宮」
二人は鎌倉の街を並んで歩いた。
やがて、大きな鳥居が見えてくる。
雪は嬉しそうに遥斗を振り返った。
「ここ。私、好きなんだよ」
「鶴岡八幡宮?」
「うん」
二人は境内へ入っていく。
長い参道を歩きながら、雪は周りの景色を眺めていた。
「源頼朝とかが縁のある場所なんよ」
「雪、歴史好きだったっけ?」
「詳しいわけじゃないけど、こういう歴史が残ってる場所って好き」
遥斗は雪の横顔を見ながら笑った。
「なんか雪らしいな」
「どういう意味?」
「大切に残ってきたものを、ちゃんと大切にするところ」
「……そうかな」
雪は少し照れた。
境内を歩きながら、二人はゆっくりと話をした。
鎌倉での生活。
雪が好きな場所。
そして、別府のこと。
すると雪が、ふと立ち止まった。
「でもね……」
「ん?」
「本当は、別府の八幡朝見神社にも行きたいんよ」
「八幡朝見神社?」
「うん」
雪は懐かしそうに笑った。
「別府にある神社。私、あそこも好きなんだよ」
「じゃあ、行けばいいじゃん」
「それが……」
雪は少し困ったように笑う。
「鎌倉からだと遠いやろ?」
「ああ……確かに」
「だから、なかなか行けなくて」
遥斗は少し考えてから、雪を見る。
「じゃあ、今度一緒に行こう」
「え?」
「別府に帰ったときに、俺が連れて行く」
雪の表情が明るくなる。
「……本当に?」
「ああ」
「遥斗と一緒に?」
「うん」
雪は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、約束やけんね」
「約束」
二人は笑い合った。
鎌倉の鶴岡八幡宮。
そして、遠く離れた別府の八幡朝見神社。
今は別々の場所にあるけれど――。
雪にとっては、どちらも大切な場所だった。
夕暮れの境内を歩きながら、雪はふと思う。
鎌倉で過ごした五年間も。
別府で過ごした時間も。
そして、遥斗と再び出会えた今日も。
全部、今の自分につながっている。
「遥斗」
「ん?」
「来てくれて、ありがとう」
「俺のほうこそ」
遥斗は雪の隣を歩く。
「待っててくれて、ありがとう」
雪は少し照れながら笑った。
「ずっと待っちょったけん」
夕焼けに照らされた二人の影が、参道の先へ長く伸びていた。
少しずつ空が茜色に染まり始めた頃、雪は遥斗を連れて家を出た。
「遥斗、行きたいところがあるんよ」
「どこ?」
「鶴岡八幡宮」
二人は鎌倉の街を並んで歩いた。
やがて、大きな鳥居が見えてくる。
雪は嬉しそうに遥斗を振り返った。
「ここ。私、好きなんだよ」
「鶴岡八幡宮?」
「うん」
二人は境内へ入っていく。
長い参道を歩きながら、雪は周りの景色を眺めていた。
「源頼朝とかが縁のある場所なんよ」
「雪、歴史好きだったっけ?」
「詳しいわけじゃないけど、こういう歴史が残ってる場所って好き」
遥斗は雪の横顔を見ながら笑った。
「なんか雪らしいな」
「どういう意味?」
「大切に残ってきたものを、ちゃんと大切にするところ」
「……そうかな」
雪は少し照れた。
境内を歩きながら、二人はゆっくりと話をした。
鎌倉での生活。
雪が好きな場所。
そして、別府のこと。
すると雪が、ふと立ち止まった。
「でもね……」
「ん?」
「本当は、別府の八幡朝見神社にも行きたいんよ」
「八幡朝見神社?」
「うん」
雪は懐かしそうに笑った。
「別府にある神社。私、あそこも好きなんだよ」
「じゃあ、行けばいいじゃん」
「それが……」
雪は少し困ったように笑う。
「鎌倉からだと遠いやろ?」
「ああ……確かに」
「だから、なかなか行けなくて」
遥斗は少し考えてから、雪を見る。
「じゃあ、今度一緒に行こう」
「え?」
「別府に帰ったときに、俺が連れて行く」
雪の表情が明るくなる。
「……本当に?」
「ああ」
「遥斗と一緒に?」
「うん」
雪は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、約束やけんね」
「約束」
二人は笑い合った。
鎌倉の鶴岡八幡宮。
そして、遠く離れた別府の八幡朝見神社。
今は別々の場所にあるけれど――。
雪にとっては、どちらも大切な場所だった。
夕暮れの境内を歩きながら、雪はふと思う。
鎌倉で過ごした五年間も。
別府で過ごした時間も。
そして、遥斗と再び出会えた今日も。
全部、今の自分につながっている。
「遥斗」
「ん?」
「来てくれて、ありがとう」
「俺のほうこそ」
遥斗は雪の隣を歩く。
「待っててくれて、ありがとう」
雪は少し照れながら笑った。
「ずっと待っちょったけん」
夕焼けに照らされた二人の影が、参道の先へ長く伸びていた。