経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2

走り続ける日々

 特許の出願が秋のこと。時、ほぼ同じくして開かれた秋の決算、決算説明会、年明けすぐの冬の決算は静かに乗り切れた。外は様子見だ。

 司にとっては想定内だった。情報を出した直後に市場が動く方が危険だ。投資家が判断するには時間が必要なのだ。しかし初めて経験する社員達にとっては、それだけでも十分な変化だった。

 今までの決算は一方通行だった。社長が簡潔に挨拶をして、CFOが形式的な事業報告、計算書類の報告、議案の説明。参加者は静かに聞いているだけで反応は薄い。質疑応答も、質問が出る方が珍しいくらいだった。

 秋の決算は出願からあまりに日が浅過ぎるせいか、今までと変わりなかった。質問が出ることも無かった。けれど冬の決算には特許に関する浅い質問が上がった。

 今までにも特許を取得したことはある。特許は会社の財産だ。けれど主張しなければ外は興味を持たない。技術力だけでは市場は反応しないのだ。IRの力をまざまざと見せつけられた。
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