経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 だからその反応だけで、その世界を知らなかった社内は動揺した。ずっと0.7を僅かに下回ったり超えたりしていたPBRは、この頃0.8に近付いていた。

 0.7と0.8。数字だけ見れば僅かな変化だった。けれど彼らには分かっていた。今まで市場から見向きもされなかった会社が、わずか半年で「見る価値のある会社」として扱われ始めている。その数字を見ただけでも途轍もない事が起きているのが分かる。ひりひりするやすりの様な緊張感がずっと彼らを削る。

 それに追われるように、とにかく言われたことをやるんだと経営企画部は必死に動き続けた。自分達にはまだ全体像は見えない。この先の事も全く分からない。だからこそ、それを見て戦える司と役員の為に、自分達が持たせられるものを全部渡すんだとやみくもに動いた。

 そして迎えた春の本決算、続く決算説明会で、自分達が感じていた緊張感という名のやすりが、実はどんなに弱いものだったかということを嫌という程思い知らされた。壇上に立つCFOと、彼に武器を渡した司は全く別の次元にいる。
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