経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
こうなってから経営企画部の面々は、別の会社の決算資料も読み漁っていた。でも、今回司が作ったものは情報量も構造も説得力も全く違う。ストーリーが一本の線で繋がっている。投資家の疑問を先回りして答えている。CFOが迷わないように設計されている。今年の総括、特許出願の位置づけ、来期の重点施策、資本政策の方針、市場の誤解ポイントと反証。これを読めば決算説明会が成立するというレベルの報告書。経験の浅い自分達でも分かるくらいに別物だ。参加している投資家達も、ページを戻ったりペンを走らせている。今まで十数人だった人数も今までの倍以上。この人数もこんな様子も見るのは初めてだ。
「PBR1倍回復に向けた資本政策について、どのように考えていますか」
「短期的な株価対策を目的とした資本政策は考えておりません。一方で、収益力の向上、資本効率の改善、成長投資と株主還元のバランスを図りながら企業価値を高め、市場から適正な評価をいただくことでPBR1倍超を目指してまいります」
質問も深掘りで前向きだ。CFOは多少のぎこちなさもありつつしっかりと答えている。この壇上に立つまでに、司とCFOがどれだけの準備をしてきたのか、それだけは知っている。二人で部屋に籠もって何時間も費やし、分厚い資料をよれよれになるまで読み込んだ跡を見た時に会社と司の覚悟をはっきりと目の当たりにした。
それでも答えられない質問をどうにかする為、裏側でも言われるがまま必死に動いた。皆で必死に形にしたものを何とかCFOに届ける。それを聞いて、小さく頷く質問者やこそこそと話す出席者に汗が噴き出す。今の回答は良かったのか悪かったのすら、その場では理解ができなかった。
今まで肌を傷付けないように触れていたやすりが、ざっと音を立てて肌を削った気がした。
「PBR1倍回復に向けた資本政策について、どのように考えていますか」
「短期的な株価対策を目的とした資本政策は考えておりません。一方で、収益力の向上、資本効率の改善、成長投資と株主還元のバランスを図りながら企業価値を高め、市場から適正な評価をいただくことでPBR1倍超を目指してまいります」
質問も深掘りで前向きだ。CFOは多少のぎこちなさもありつつしっかりと答えている。この壇上に立つまでに、司とCFOがどれだけの準備をしてきたのか、それだけは知っている。二人で部屋に籠もって何時間も費やし、分厚い資料をよれよれになるまで読み込んだ跡を見た時に会社と司の覚悟をはっきりと目の当たりにした。
それでも答えられない質問をどうにかする為、裏側でも言われるがまま必死に動いた。皆で必死に形にしたものを何とかCFOに届ける。それを聞いて、小さく頷く質問者やこそこそと話す出席者に汗が噴き出す。今の回答は良かったのか悪かったのすら、その場では理解ができなかった。
今まで肌を傷付けないように触れていたやすりが、ざっと音を立てて肌を削った気がした。