経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 はぁーーー。と、大きなため息をついた経営企画部の隣で、社長はまだ強張りながら呟く。

「でも、だからと言って答えるのも難しい。どうやって自分の言葉にすればいいんだ」

「結論→理由→方針の順に答えることを徹底しましょう」

「結論→理由→方針?」

 あっさり答えられて社長は目を丸くして聞き返した。

「はい。そこの質疑応答の例も、全てその順番で書かれています」

 言われてもう一度見てみると、本当だ。全てその順番で書かれている。複雑そうに見えて、実はシンプルだ。つまり、自分の中からこのブロックを出して並べれば良いだけ。

「投資家は答えそのものだけを見ているわけではありません。その答えに至る考え方を見ています。では、社長。さっきの質問に、ご自分の言葉でお答え下さい」

 司にそう言われて、社長は紙を見ずに考えながら呟いた。特許の進捗は?

 最初に結論。

「現在…ええ、と、本技術に関する特許出願の審査が進行中です」

 次に理由。

「理由……出願後は審査に一定の期間が必要で…して……現段階で詳細をお伝えすることはできかねます。が、独自の高い技術力が評価されています」

 ぎこちなさはあるけれど、言葉が止まることは無い。最後に方針を思い出し、安心したように続ける。

「今後は審査状況を注視しつつ、本特許を活用した事業の拡大・展開を加速させてまいります」

 …できた。その事実に気付いた瞬間、部屋全体に驚きと安堵が広がった。その向こうで司が小さく頷いた。

「そうですね。その型を徹底して覚えましょう。後は練習あるのみです。色んな質問が色んな角度から飛びますので徹底的に練習しましょう。相手役なら、ここに十分います」

 周囲を見回して司はそう呟いた。
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