経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2

個別ミーティング1

 さて、会社の試練は株主総会後も続く。感動的だった。ひと段落ですね。なんて口から出すこともできなかった。

「次は投資家との個別ミーティングです」

 個別ミーティング? 司のその言葉を聞いていた経営企画部の面々は一瞬顔を見合わせた。何それ。知らない。と、目が合って首を傾げる。でも、嫌な予感がする。言葉から想像するだけでも物凄くきつい予感。もしかしたらこれが最後の壁なのかもしれないと思った勘は嬉しくないことに当たった。

「CFOには事前にお話をさせて頂いていますが、その後いかがでしょうか」

「…ああ…」

 CFOはその言葉に疲れ果てた様子で頷いた。それを見て経営企画も引き攣る。ああ、これは、途轍もなく大変な仕事を抱えているのは間違いない。

 その場は二人の邪魔はできないので黙って見ていたものの、四人は席に戻って個別ミーティングが何なのか、対応するにはどうすれば良いのかをそれぞれに調べた。

 分かったことは、個別ミーティングというのは、決算説明会のような大人数向けの場ではなく、投資家と会社が直接対話する少人数の面談。大人数向けの決算説明会とは違って、お互いが本音でディープな会話をする。しかもプロ相手なので生半可な対応は通用しない。……らしい。

 ここまで理解しただけで四人の顔は白くなった。投資家と正面切って話し合い? それで? 対応するにはどうすれば良いの?

 決算説明会も、実は数字だけでは戦えなかった。完璧な報告書があっても、それを踏まえての質問が投資家から飛んだ。その答えを裏で探し、組み立て、CFOに何度も届けた。それを知っているからこそ、個別ミーティングが更にきついことは聞くまでもない。間違いなくその手は使えない。CFOがほぼ全てを自身でやる必要があるのだ。その為には何が必要なの?
< 39 / 54 >

この作品をシェア

pagetop