経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 一般的な回答はこうだった。

 最初に必要なのは、会社そのものを理解する力。決算説明会以上に会社全体を俯瞰し、司が組み立てていたロジックまで理解しなければならない。

 その上で求められるのが意図を読む力。質問に答えるだけでは足りない。本当に知りたいことは何か。どこまで答え、どこから先は答えないか。その線引きまで瞬時に判断しなければならない。

 更に技術を投資家の言葉へ翻訳する言語化力。一問一答ではなく対話を組み立てる対話力。

 そして最後に書かれていた項目を見て、四人は手を止めた。

 答えるべきことと、答えるべきではないことを判断する技術。

 それは逃げるという意味ではない。言えることと言えないことを判断し、企業価値を守りながら対話する力。そんな高度な判断を会話の中で求められる。

 恐らく、これで全部ではない。それだけやって、ようやくスタートラインに立てるのだ。つまり決算説明会以上の受け答えを一人で全部しなければならない。

 ……あれを一人で全部? と、顔を見合わせた四人の顔は青ざめた。司がいたから何とかなったのに。自分だったら無理だ。

 けれど役員には背負うべき責任と人の生活がある。CFOは知識を必死に頭へ叩き込み、一つひとつ理解していった。
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