経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 単純な質問に見える。だが、意図は複数ある。投資の妥当性を測っているのか、顧客の確度を探っているのか、あるいは経営陣の判断の強さを見たいのか…。これも判断がつかない。CFOはどうするのか。夏なのに、かじかむような指先を止めたまま、竹田はCFOの言葉を待った。

「現時点では……需要見通しと現在の生産計画を前提に、投資回収期間は、五年、程度を想定しております。ただ、想定以上に需要拡大が進んだ場合には生産効率の向上も含めて…回収期間は短縮できる可能性があると考えております」

 相手の表情が僅かに動いた。その変化の意味が読めない。だが、沈黙が非難を語ることはなかった。竹田にはそう感じた。これはどう受け取られたのか。

 ミーティングの最後、投資家は資料を閉じながら言った。

「今日の話、参考になりました。次の四半期でも、また状況を伺わせてください」

 最初の個別ミーティングはそんな風に乗り切った。綱渡りを何とか渡り切れたとは分かる。けれど上手くいった訳でもない。様子見だ。彼が本当に次に来てくれた時にどうすれば良い? と、固い表情で立ち尽くしたCFOに司は言った。

「CFO、お疲れ様でした。フォローアップをしましょう」

「…フォローアップ?」

「はい。『何が伝わったか』『どこが難しかったか』の確認や、次のミーティングに向けて改善点を整理します」

 そう言われて竹田も目が覚めた。そうだ。次があるのだ。個別ミーティングはこれからだ。ここで立ち止まる訳にはいかない。隣で聞いていた司の評価も聞きたい。

 今まではそれを必要と感じたことも無かった。こうやって進んでいくのかと、二人は司と一緒に会議室へ向かって歩き始めた。
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