経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 メモを見ながら司が呟く。

「例えば回収期間の質問です。数字そのものを知りたかった可能性もあります。一方で、数字をどういう前提で考えているのか、経営陣の確度を見たかった可能性もあります」

 CFOは目を瞬いた。竹田と同じ事を思ったのだろう。やっぱり司には分からないなりに見えていたのか。でも、そうだとしても、その先どうすれば。

「確度……か」

「はい。だから次は数字を言う前に前提条件を一言添えると良いです」

「前提条件?」

「『現状の需要前提では』『顧客の確度を踏まえると』。そういう一言があるだけで、どちらでも外しにくくなります」

 その言葉に二人は目を丸くした。それに構わず、司は淡々と続ける。

「投資家の意図を当てる必要はありません。重要なのは、どの意図だったとしても会社として誤った方向へ進まない答え方をすることです」

 そんな簡単に言うけど…。

 でも、そうかーーーーー!! 多分CFOも同じことを思ったのだろう。対面で顔を覆ってる。

 投資家の意図を完璧に読み切る必要なんてなかった。分からないものを、分からないまま扱う方法がある。それだけで目の前の壁が少し低く見えた。

「では、改めてフォローアップを始めましょう。最初の質問からいきます」

 そうだ。ミーティングはまだ終わっていなかった。本番はここからだ。
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