経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2

個別ミーティング4

 二人目は国内の長期バリュー投資家だった。意地悪ではない。ただ、質問の角度が鋭く、深掘りの仕方が独特だ。

 CFOは、またしても聞かれたことに答えるだけで精一杯だった。体勢を立て直せないまま次の試練に立ち向かうような危なっかしさに、竹田の指先はまた冷えた。足場が見えていない。踏み外せば落ちてしまうのに。

 けれどこの時、少し風向きが変わるフォローを見ることができた。そしてこれがこの先の個別ミーティングを別物に変えるきっかけになる。

「今回の量産体制は順調とのことですが、もし需要が想定より早く伸びた場合、どこがボトルネックになりますか」

 CFOは一瞬、言葉を探した。数秒にも満たない沈黙だった。けれどその短い時間が竹田には長く感じられた。

 質問の意味が分からないわけではない。ただ、その奥に何を求められているのかが分からない。また竹田の指は空しく止まった。

 その時、司がCFOを見て呟く。

「補足しても宜しいでしょうか」
< 48 / 56 >

この作品をシェア

pagetop