経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 投資家を見送って、CFOは小さく息を吐いた。疲れているのが分かる。肉体的にもだが精神的にも相当すり減っているのだろう。隣に座っているだけの自分も削られる。竹田は音を立てずに、CFOのため息とは違う深呼吸をした。自分が疲れを見せる訳にはいかない。司もいつも通りだ。…そう見えるけれど、本当にそうなのかは分からない。

 そこに立ち止まったまま、CFOの弱音が聞こえてくる。

「…助かった。あの質問、また意図が分からなくて」

 気持ちは良く分かります。と、頷く竹田の前で、司は小さく笑ってこんなことを言った。

「CFO。質問の意図を考えることは、実は特別な技術じゃないんです。勿論、投資家との対話には知識も経験も必要です。でも、最初の入口は特別なものではありません。人間関係の延長線上にあるものと同じです」

 その言葉に竹田は目を丸くした。寝不足の上にPCを凝視していた目が痛む。けれど眉間を揉む余裕もなく二人を見ていたら、同じように目を丸くしたCFOが呟く。

「人間関係……?」

「はい。例えば同僚が、この資料いつまでにできます? って聞いてきたら、急ぎなのか、ただの確認なのか、他の仕事との兼ね合いを見たいのかって自然と考えますよね」

 CFOと竹田は固まった。その先が見えた気がして停止してしまった。

「言葉だけを見ると聞いているのは期限です。でも、本当に知りたいことは別の場合があります」
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