経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 確かに普段の会話でも無意識に相手の意図を探っている。そんな単純なことを自分たちは見落としていたのか?

「投資家も同じです。会社を困らせようとして質問している訳ではありません。ただ、自分の判断材料を集めたいだけです。だから意図が分からなければ聞けばいいんです。今日みたいに」

 そういう事? たった、それだけの事なのか?

 勿論、そんな単純な話ではない。投資家に伝えるべき情報、守るべき情報、経営判断としての責任は残っている。けれど最初から別世界の技術だと思っていたものの入口は、意外にも普段の会話の延長線上にあったのか…。

 CFOは暫く黙っていた。が、やがて小さく頷いた。



 その後の個別ミーティングから、CFOの対応は少しずつ変わっていった。以前なら質問を受けた瞬間に答えを探していた。だが今は、まず相手が何を確認したいのかを考えるようになった。時には「確認ですが」と問い返すこともあった。それは質問を避ける為ではない。より正確に答える為の会話だった。

 投資家との対話は、いつしか一方的な質疑応答ではなくなっていた。
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