経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2

全部終わった

 隣でCFOが話すのを聞きながら思う。うん。質問に振り回されていない。答え方も良い。経営者の言葉として十分だ。これならもうフォローする必要は無いな。と、少し体の力を抜いた。

 相手の反応も良い。こちらの説明を前向きに受け取ってくれているようには見える。これが期待通りの反応なのか、それとも単なる社交辞令なのか、そこまでは分からない。

 できる事はやった。全員がやり尽くした。後は天に任せるだけだ。

「ありがとうございました」

 と、納得したように頷いた相手の表情に安心した。そしてCFOと相手の世間話を聞きながら一階に降りる。エントランスで見送った相手の顔が楽しそうに見えた。

「二人とも、ご苦労様。…今日のは上手くいったよな? 上野?」

「はい」

 CFOの言葉に頷いた。もう一度話を聞きたいと来てくれた投資家は前向きの筈だ。そこでCFOは一回目よりも明らかに成熟した姿を見せた。業績も予想を裏切っていない。正に全社一丸となって投資家にアピールできた筈だ。きっと結果に繫がる。そう信じよう。

 そのまま、今日は次の予定があると言ったCFOと別れた。小さく頭を下げて見送った司に竹田が言う。

「今日のフォローアップは楽だな」

「そうですね。いや、もうがっつりやらなくても概要だけで…」

 そう呟いて驚いた。自分の何気ない言葉に決定的な切っ掛けを感じて。

 …あれ? もうやる必要がない?

 …ってことは。

 ふと、我に返るような変化に目を丸くした。四六時中、仕事のことを考えていた意識が、もうそこまで張り詰めなくて良いと弱まって急に気付く。つまり。

 もしかしてもう、俺の仕事は終わった?
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