経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 膨大な量のビーズを、ひと粒ずつ手で仕分けしていくような作業だった。小さくて、色も形もどこか曖昧なそれらを、光にかざしながら分類していく。気が遠くなるような作業を皆で続け、ようやく整えたビーズに名前を付けた。どんな器に入れれば美しく見えるか、どんな並べ方なら意味が伝わるかを考え、それを他の人に見せ、手に取ってもらい、説明していく。

 そんな風にして、無数の粒がようやく誰かに届く形になった。それを誇り、適切に説明して貰えるようにもなった。自分ができる事は、これで全部。

 全部だ。

「上野?」

 呼ばれて顔を上げた。そして目の合った竹田に呟く。

「…先輩。今日、早めに上がって良いですか?」

 その後輩の脳裏に映っているものが、ほんの一瞬前と違うことを竹田は知らない。

「え? あ、ああ」

 個別ミーティングの日は、フォローアップでいつも遅くなっていた。けれど今日は必要なさそうだと竹田は頷く。

 ただ明らかな司の違和感には気付いていた。司はそれにも気付かない。
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